AIH(人工授精)に関する情報をQ&A形式でご紹介

妊娠が期待できるAIHとは・・。

申し遅れましたが私は22歳で結婚し現在29歳です。24歳の時不妊症と診断され今は二軒目となる大学病院に通院しています。もう一度お答えを頂きたいと思い投稿させて頂きますのでお願い致します。主人はそこで精索静脈瘤の手術を二回受け、更に睾丸の組織を採って調べて頂きましたが特に異常は無く、担当医から「もう何もする事はない」と言われました。私は子宮内膜症・視床下部及び下垂体機能障害・卵巣機能障害と診断されましたが、子宮内膜症以外特に具体的な説明はありませんでした。子宮卵管造影検査を4年程前に受け短期間ではありますがスプレキュアを使用、後は生理開始日5日目から5日間クロミッド錠を数回服用しました。主人の精子の数が少なく運動率が悪いとの事でAIHではなく顕微受精を薦められていますが、不妊関係の書籍を読んでいて私が受けていない検査が幾つかあることに気が付いたのです。前の病院では血液検査のみでAIHを2回受けました。大学病院では担当医が8月にかわり以前なら排卵誘発剤とhMGを併用してAIHを受けていたのに今はそんな処置はなく、月に一、二回の通院でAIHを受けて帰るだけです。また3年程前から血液検査など特に何の検査もしていません。必要が無いという事でしょうか?ならいいのですが、あまりにも期間があいているので不安に思っています。私としては受けるべき検査や治療が他にあったのではないか、主人の治療は本当に何も無いのか、納得できる答えを探して悩んでいます。また、妊娠が期待できるAIHとはどのように判断すればいいのでしょうか。担当医に聞けば精子の数・運動率は教えて下さいますが。山下先生、申し訳ありませんがもう一度教えて頂けないでしょうか。よろしくお願い致します。


回答

なかなかうまくいかなくて、また今の状態や今後の方針をどのように考えたらよいかお悩みのこと。お察しいたします。治療方針を決めることは本当にむずかしいことです。その最大の理由はまっちゅみーさんをはじめとして、殆どの不妊のご夫婦において、妊娠できない真の原因をつかむことはどのようにしてもできないからです。そのために今やっている治療は、あるいは今から行おうとしている治療が意味のあることかどうか知ることができません。また仮に男性因子が主たる原因であったとしても、人工授精で妊娠の可能性があるのか否かの判断は困難です。(精液の条件は毎回違い、また何より精子の受精能力は数や運動率だけでは決まらない。)そのような状況の中で治療方針を決めなければならないわけですから。やや総論的な話になりましたが、お尋ねの件についてお答えいたします。今の状態でそのまま顕微授精へ進むのもよいと思いますが、その踏ん切りがつかないと思われるならもう5、6回人工授精を試してみてはいかがですか。その際私ならこうするというやり方を述べさせていただきます。

1.卵管の通過性の確認と治療的な意味を考えて今一度子宮卵管造影検査を受けていただく。

2.クロミッド−hMG,あるいはhMG単独など排卵誘発剤を用いて卵胞数を増やしたりホルモンレベルを高める処置を併用する。

3.超音波で卵胞サイズをチェックし、尿LH等を使うか適切な時期にhCGを注射するなどしてできるだけ排卵時期を予測し、人工授精のタイミングを正確に決める。(人工授精の時は排卵がまだで、翌日のチェックでは排卵が終了しているのがベスト。)

4.精液を洗浄、濃縮し運動良好な精子をできるだけ多く子宮腔の奥に出血をさせないように注入する。

5.人工授精翌日に超音波で排卵を確認する。もししていなければその後本当に排卵があったのか確認しておく。(体温が上がっても排卵していないケースもかなりあるため)

6.排卵後5〜7日目頃にE2,P(卵胞ホルモン、黄体ホルモン)の測定、子宮内膜のチェックを行い着床の条件が整っているか確かめる。

以上この治療を実際に受けられるのは大変かもしれませんが、これでも妊娠ができなければいよいよ顕微授精も考える必要があると思います。今後の参考にしていただければ幸いです。

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