AIH(人工授精)に関する情報をQ&A形式でご紹介

AIHのタイミング。

排卵より先に精子をいれたほうがよいとありましたが、AIHの場合でも同じでしょうか。AIHで、注入した精子は、どれくらいで、卵子のいる場所に到達するのでしょうか。私の先生は、排卵前後がいいということで、朝の診察で、18,19ミリになると、そのまま、HCGをして、36時間後に排卵するので、翌々日の朝、AIHをします。いつも、AIHをする時に、エコーで見ると、排卵済みです。先生は、「きれいに排卵していますね。」といわれるのですが、AIHの当日の早朝に、排卵したのなら受精の可能性はありますが、もし、前日なら12時間以上、場合によっては、24時間以上たっていることになります。精子は、3日以上生きられるなら、むしろ排卵ぎりぎりを狙って、いつも排卵済みになるより、AIHをしてから排卵するくらいのほうが、いいと思うのですが、「前後がいいです」といわれるのみで、聞いていただけません。自然では、数や運動率、奇形率的に、不可能だし、他に不妊原因はありません。確率をよりあげるために、排卵前後に2回AIHをする場合もあるのでしょうか。また、確率はあがりますか。


回答

AIHのタイミングについてのご質問ですね。このことは他にもお知りになりたい方は多いと思います。いいご質問をお寄せいただきましてありがとうございます。私なりの考えを述べさせていただきます。タイミング問題のポイントは

1. AIHをいつ行うのがベストか。

2. どのような方法でその時期を決めるのか。

に集約できると思います。精子と卵子の受精可能期間から考えますと、まず卵子は前にも述べましたように排卵後半日程度の生存と考えられます。また洗浄濃縮のAIHの精子は自然の性交渉の場合に比べると受精可能期間は短縮するかもしれませんが、2日程度は保たれると思われます。このことからAIHで妊娠可能な時期は排卵の約2日前から半日後の間と考えます。子宮に注入された精子は1〜2時間の間には卵管膨大部まで到達すると言われていますので、排卵前後数時間がAIHのベストタイミングといえます。ただし実際問題としては、排卵した後では排卵時刻を確認することができません。(もしかしたら12時間以上前に排卵が終っているかもしれない。)排卵していない状態でAIHをするほうが確率が高いと思います。(その上で翌日排卵が終っていることが確認できればOKです。)実際のタイミングの捉え方として尿検査によるLHサージの検出から排卵時期を推定する方法とhCGを注射して計画的に排卵を起こさせる方法が考えられます。成熟した卵胞はhCGを注射後約40時間で排卵させることができます。ただしこの場合自然にLHサージが起こってしまえば予定より早く排卵が起こってしまい注意が必要です。結論的なことをいえば最も有効なAIHのタイミング決定の方法としては、超音波のチェックで20mm前後の卵胞を認めた時点で

1.毎日尿検査を行いLHサージが検出できればできるだけ早くAIHを行う。あるいは

2.hCGの注射をして40時間後にAIHを行う。(午前中にAIHを行うならhCGの注射は2日前の夜)

この場合注射前から尿検査を併用して、もしLHサージが出るようならAIHを予定より早める。を考えております。それでもタイミングを捕まえることが難しい場合は保険的な意味で推定排卵時期の前後に2日続けてやってみるのも悪くないと思います。

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